コロナ禍の影響により一気に普及したリモートワーク。生産性が向上しワークライフバランスが充実することから、リモートワーク可能なことを条件に転職活動をしている人もいます。そのためか異業種からIT業界に転職を希望するケースも増えてきているようです。未経験からでも入りやすい職種として注目されているのが、テストエンジニアです。品質への要求が高まる中で期待されるテストエンジニアはどのように育成すればよいのでしょうか。
現在、IoTやAIによるイノベーションが次々と生まれる第四次産業革命の真っただ中にいます。フィンテック、アグリテックといった既存の産業とITを組み合わせる「XXテック」という言葉も当たり前のように使用されるようになりました。今やITのテクノロジーは、あらゆる産業の革新に深く関わっています。ITが貢献する領域が広がるにつれて浮き彫りになったのが、産業革命を担うIT人材の不足です。
「IT人材白書2020 」によると、IT企業におけるIT人材の人数の過不足について調査したところ、「大幅に不足している」「やや不足している」の回答を合わせると、2018年に92%、2019年に93%となっており、高止まりの状態となっています。
この結果から、依然としてIT人材の確保が重要なテーマとなっていることがわかります。経済産業省の「IT 人材需給に関する調査 」によると、2030年にIT人材が最大で約79万人不足するという驚きの試算結果も示されています。IT人材は、エンジニアリングのスキルはもちろんのこと、ビジネスにも精通することが求められるようになっており、育成には相当の時間がかかります。危機感を持ち、早急に対策を実行する必要があります。
慢性的な人材不足を背景に、エンジニアの門戸も広がりつつあります。さらにコロナ禍の影響により、異業種からIT業界へ転職するという話もよく聞かれるようになりました。IT業界はリモートワークができる仕事が多いため、ライフワークバランスを重視する求職者から選ばれる傾向にあるようです。
異業種からIT業界へのキャリアチェンジで注目されているのが、テストエンジニアです。テストエンジニアは、ソフトウェアの開発においてテストに関連する仕事を担当します。必ずしも開発経験が必要とされないことから、異業種からでも転職しやすいという特徴があります。普段から開発に携わっていないからこそ生まれる観点が、テストに生かされることも多々あります。
テストエンジニアは仕様書通りにプログラミングされているかをチェックするのはもちろん、仕様書の精度が高いか、仕様書に現れない非機能部分がカバーされているか、といったことを上流工程から参画し検証する高度な仕事も含まれます。
以前は若手のエンジニアが開発と兼任でテストを担当することが多かったのですが、近年は片手間の作業では品質を維持することが困難になっています。特に最近ではリリース後の不具合やサイバー攻撃が、ビジネスに大きなインパクトを与えるようになりました。本番稼働で不具合が頻発し利用者に大きな混乱を与える、サイバー攻撃により個人情報が流出するといった問題が発生し、企業の信用を失墜するケースもあります。こうした背景から品質に対する要求が高くなり、より高い専門性がテストエンジニアに求められています。
テストというと単調な検証を地道に行うイメージがありましたが、そうした単純作業は自動化される傾向にあります。テストエンジニアはより高度な仕事に携わる職種になっていくでしょう。
しかしテストについて、しっかりと教育を行っている企業は少ないのではないでしょうか。高い品質を追求するには、経験や勘に頼るのではなく、基本的な知識を身に着けた上でテストを行う必要があります。テストエンジニアに求められる知識としては次のようなものがあります。
ヴェスでは「テストエンジニア育成支援サービス」を提供しています。未経験または経験の浅いテストエンジニアが自走できるヴェスのノウハウの詰まったカリキュラムです。サービスの特徴には次のようなものがあります。
IT検証技術者認定試験「IVEC」やSQuBOKをベースとして「ソフトウェア品質の原理・原則」を中心テーマとするヴェス独自の教育プログラムを提供しています。品質への理解を深め、テスト実務に生かし、応用できる基礎知識が習得できます。
テストエンジニアを育成するには、経験を積む機会が必要です。しかし経験に頼ると育成に時間がかかってしまいます。ヴェスでは自ら手を動かし考える実習を重視しています。実習を行い反復することによって、知識を現場で役立つ実務力に変えることができます。
このプログラムはヴェスの社内教育がベースとなっています。現場エンジニアの経験と知識をフィードバックし、更新を重ねて体系を整備しました。ソフトウェアテストのエキスパートとして培った経験が裏付ける生きた教育が受けられます。